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ソニー3つの誤算

 ソニーと松下電器の2008年4−6月期決算は明暗がくっきり分かれた。「3つの誤算」で大幅減益に追い込まれたソニー。対する松下は薄型テレビなどが世界的に好調で、最終利益が4−6月期としては23年ぶりに過去最高を更新した。「ソニー・ショック」と呼ばれた03年以降の業績悪化から立ち直った同社だが、世界的な消費低迷や原材料価格の高騰など新たな試練に直面している。

 「液晶テレビを除くと、北米市場のAV(映像・音響)関連の伸びはマイナスになるだろう」「中国市場も五輪需要を想定していたが、地震の影響もあって想定以下」

 「3つの誤算」に見舞われたソニーの大根田伸行CFO(最高財務責任者)は29日の決算説明会で、厳しい環境について語った。

 第1の誤算は、本業のエレクトロニクス部門で稼ぎ頭のデジタルカメラ、ビデオカメラ、パソコンが不調だったことだ。これらはテレビやゲームの大赤字をカバーしてきた“優等生”だが、ソニーが得意とする高級機種が伸び悩んで減益となってしまった。

 いずれも低価格化が進んでいることが要因。あるソニー関係者は、ビデオカメラの低価格化に拍車をかけているのが「ユーチューブ」などのインターネットの動画共有サイトとみている。欧米を中心に録画した動画のネット投稿が定着し、「画質が粗くても300ドル(3万円強)程度のビデオカメラで気楽に撮る人が増えている」という。高画質のビデオカメラが主流の日本とは対照的だ。

 パソコンはおひざ元の日本で不調。「市場が(低価格の)普及機種に流れている」(大根田CFO)ためで、象徴的なのが台湾メーカーの5万円を切るノートパソコンの人気だ。先のソニー関係者は「(こうした低価格機は)あくまで2台目としての需要。ソニーが追随する考えはない」とするが、他社も参入する動きがあるだけに、低価格機の市場がさらに拡大することもありうる。

 第2の誤算は携帯電話事業の不振。持ち分法適用会社の英ソニー・エリクソンは高い収益性を誇ってきたが、4−6月期については97%もの減益となった。ここでも同社が得意な高級機種などが売れず、低価格帯の機種が売れる現象に巻き込まれた。

 第3の誤算は原材料価格の高騰だ。コバルトやプラスチックを中心に数百億円の負担増となり、輸送費も100億円近く増えるという。大根田氏は「予算内に織り込んでいるが、今以上に(原材料価格が)上がると厳しい状況になる」と危機感を募らせる。

 ただ、光明がないわけではない。大幅減益となった今回の決算も「想定よりはいい数字」(原直史業務執行役員)。薄型テレビと家庭用ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」では赤字幅が縮小し、今期中の黒字化を見据える。

 一方、決算が好調だった松下は、4−6月期の最終利益が同期としては7年連続の増益となり、23年ぶりに過去最高を更新した。

 欧米や中国、アジアなど海外の全地域で2ケタの増収を達成。特に薄型テレビとデジカメが全地域で増収となった。北米市場では、プラズマテレビ中心から、液晶テレビ、デジカメ、ブルーレイ・ディスク(DVD)など幅広い商品を展開し、販路も全国規模の量販店中心から地域量販店にまで間口を広げたことが功を奏した。

 公式スポンサーを務める北京五輪関連の商戦も「6月中ごろから盛り上がっている」(上野山実取締役)が、9月中間期は五輪後の価格下落の影響などで減益を見込む。

 世界経済の不透明感が強まるなか、松下とソニーの盟主争いはますます激しさを増しそうだ。

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